本日の研究室のゼミにて、屋外で利用する機器の電源問題について議論されました。そういえば、筆者が学生のとき、アマチュア無線の移動運用をするために、同じ話題を解決させたなと、ふと思い出しました。せっかくなので、簡単にまとめておきたいと思います。
小型軽量のバッテリーといえば、リチウムイオン電池につきると思います。ただし、値段がとにかく高いです。また、取り扱い方に気をつけなければ、爆発します。汎用に使えるリチウムイオン電池といえば、以前であれば魚釣りの電動リールの電源を流用するのがセオリーだったのですが、災害対策とかポータブル電源というカテゴリーにて大容量バッテリーのラインナップが増えてきました。とてもうれしいことです。
上に上げたバッテリーの諸元をみてみると、400Whくらいの電池が入っていて、商用電源、シガーポート、USBポートも付いていて便利です。たとえば、400Whの電源を使って、5V/1.5Aの電源をとるとき、2日程度は利用できるということになります。
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容量(Wh)
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5V/0.5A [h]
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5V/1A [h]
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5V/1.5A [h]
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suaoki ポータブル電源
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222
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88.8
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44.4
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29.6
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suaoki ポータブル電源 大容量
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400
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160
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80.0
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53.3
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Anker PowerHouse
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434
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174
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86.8
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57.9
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もっと大容量となると、鉛バッテリーになるかと思います。鉛バッテリーといえば、車のカーバッテリーが有名かと思います。ちなみに、カーバッテリーのほとんどは、開放型バッテリーなので、バッテリーが倒れると中の液体である希硫酸がこぼれてしまいます。言うまでもなく希硫酸は不揮発性の酸なので、水分が蒸発すると濃硫酸になってしまいまして、危険だということは説明の余地はないでしょう。
というわけで、比較的安全に取り扱えるのは、完全シールド型の鉛バッテリーになります。例えば、秋月電子などで取り扱っているLONGのバッテリーは安価で大容量です。
スペックは次の通りです。
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容量(Wh)
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5V/0.5A [h]
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5V/1A [h]
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5V/1.5A [h]
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LONG 高性能 シールドバッテリー
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312
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125
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62.4
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41.6
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鉛バッテリーに関して、開放型か密閉型の違いのほかに重要な点として、ディープサイクルバッテリーか否かになります。鉛バッテリーは、充電された電気をたくさん使う深放電(過放電)を繰り返すと著しく性能が劣化します(化学の知識で鉛バッテリーの原理を考えると、放電の際に電極に生成される硫酸鉛(PbSO
4)が結晶化してこびりつくサルフェーションが要因ですね..)。ディープサイクルバッテリ-は、その部分を改良して、小さな電流を長時間流すことを想定して設計されています。
深放電の問題を解決したのが、ディープサイクルバッテリーになります。ACDelcoシールドバッテリーあたりは評判が良く、先のLONGシリーズでは、「
LONG 12V110Ah ディープサイクルバッテリー (KPH110-12N)」も選択肢になるかと思います。
上の2つのバッテリーのスペックをみると、次の通りです。
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容量(Wh)
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5V/0.5A [h]
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5V/1A [h]
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5V/1.5A [h]
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ACDelco ディープサイクル鉛
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960
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384
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192
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128
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LONG ディープサイクル鉛
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1,320
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528
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264
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176
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ちなみに、LONGディープサイクル鉛シールドバッテリーを使うと、5V1.5Aの出力をとったとして、1週間の電源供給が可能ということになります。言うまでもなく、鉛バッテリーは金属の塊で、鉛は思い金属なので(魚釣りのおもりとして使われているくらいなので...)、約30kgの重量があることは忘れてはならない重要事項ですね...(笑)